記憶バイアスの神経生物学的発生機序の解明に向けて─認知科学・神経科学・内分泌学からの包括的アプローチによる検証

    研究成果: ジャーナルへの寄稿学術論文

    抄録

    記憶バイアスは,ネガティブな情動刺激に対して生じる情報処理上の偏り「認知バイアス」の一つである。認知バイアスは,ストレスに関連した精神障害の発症と維持・増悪に寄与することから,その病態解明研究において客観的に記述可能な認知行動学的測定単位であるとともに,ストレス関連精神症状に対する有効性が明らかとなっている心理介入法「認知バイアス緩和アプローチ」の重要な治療標的でもある。記憶バイアスとは,ネガティブな刺激をその他の刺激よりも多く記銘・想起し,自身が経験した出来事を具体的に想起し難い傾向をいう。しかしながら,記憶という現象の複雑さゆえに相対的に研究が進んでいないのが現状である。そこで本稿では,記憶バイアス緩和アプローチの今後の発展に向けて,記憶バイアスの神経生物学的発生機序の解明をめざした研究知見を紹介する。
    寄稿の翻訳タイトルNeurobiological mechanisms underlying memory bias: from an integrative perspective of cognitive psychology, neuroendocrinology, and neuroscience
    本文言語日本
    ページ(範囲)169-177
    ページ数9
    ジャーナル日本生物学的精神医学会誌
    33
    4
    DOI
    出版ステータス出版済み - 2022

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