抄録
この論文では,Homma (2009, 2012, 2018)によって構築された一般化使用者収入モデルに基づきながら,我が国地方銀行における平穏仮説の実証的含意を明らかにする.分析の結果,効率性仮説は受容されないが,平穏仮説は受容される.加えて,ハーフィンダール指数の増加によるコスト・フロンティア上の拡張された一般化ラーナー指数(以下,EGLI)の増加と平穏仮説の成立は同値なため,独占禁止政策は正当化される.さらに,平均的な貸出残高は大きくなく,平穏仮説のみが成立するため,異時点間規則的連鎖(サイクル的連鎖)が存在する.しかしながら,コスト・フロンティア上の単一期間EGLIのサイクル的連鎖は収束に向かい,初期時点の非常に大きな値に固定化される.このため,単一期間動学的費用効率性及び単一期間最適金融財のサイクル的連鎖と同様,我が国地方銀行にとって望ましくないと判断される.
本文言語 | 日本 |
---|---|
ページ(範囲) | 1-371 |
ページ数 | 371 |
ジャーナル | Working Paper, School of economics, university of toyama |
巻 | 343 |
DOI | |
出版ステータス | 出版済み - 2022/03 |
キーワード
- 動学的費用非中立的効率性
- 動学的価格非効率
- 一般化使用者収入モデル
- 一般化使用者収入価格
- 拡張された一般化ラーナー指数
- 効率性仮説
- 平穏仮説
- 異時点間規則的連鎖
ASJC Scopus 主題領域
- 経済学、計量経済学および金融学(全般)