鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について

Translated title of the contribution: Measures to regulate wildlife photography and viewing

高橋 満彦*

*Corresponding author for this work

Research output: Contribution to journalArticlepeer-review

Abstract

野生動物、特に鳥獣の写真撮影や観察は、現代的なリクリエーションとしても推奨されている。今後の撮影・観察を伴う野生動物観光の参加者は増加が見込まれ、その経済的将来性に期待が高まっている。一方で、撮影・観察活動は鳥類の営巣・育雛を妨害するなど、態様によっては生態保護上の支障を惹起する懸念が報告されており、どのように負の影響を減らして実施させるかが重要な課題となっている。普及啓発や関係団体による倫理規範などの自主規制も導入され、効果が期待されるが、強制力がないなどの弱点があり、法律による規制が必要となり、自主規制との相補関係が期待される。 しかし、日本では一般的に撮影・観察を規制する法令はない。特定の保護区における規制としては、鳥獣法や自然公園法で特に指定した地域において、特定の撮影・観察、録音などを規制できる等の規定を有している。しかし、規制事例はわずかであるうえに、行政が政省令等の整備など、法律を具体化する手続きを踏んでいないケースも多い。米国でも本邦同様に、撮影・観察を一般的に規制することは行っていないが、絶滅危惧種の保存法( ESA)により、指定保護種を困惑させたりする撮影・観察は捕獲規制の対象とされる。また、英国では営巣鳥類の行動を妨げることは禁止されており、営巣生態を撮影したいものに対するライセンス制度を導入している。 結論として、既存の法令を十分活用したうえで、諸外国の先進事例から学びながら、法令を一層整備することが必要である。特に絶滅危惧種保全、繁殖鳥類の保護、国立公園等の保護区管理の局面での規制の充実が望まれる。

Translated title of the contributionMeasures to regulate wildlife photography and viewing
Original languageJapanese
JournalJapanese Journal of Conservation Ecology
Volumeadvpub
Issue number0
DOIs
StatePublished - 2022/10/20

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