特別支援学校における連絡帳を通した保護者支援: 困った行動の低減を目的とした応用行動分析学に基づく支援の効果

Research output: Contribution to journalArticlepeer-review

Abstract

本研究は,特別支援学校に在籍する子供の保護者が連絡帳に記入した家庭での子供の困った行動の相談について,担任の教師が連絡帳を記入して回答する形で,応用行動分析学に基づく支援を保護者に伝えた。そして,その連絡帳を通した支援が子供の困った行動の低減につながるかについて検討した。保護者が連絡帳に記入した困った行動は,①使用済みのティッシュを新しいティッシュの箱の中に戻したり,使用済みのタオルを使用していないタオルの引き出しに戻したりする行動,②父親にひっかいたり,爪を立てたりする行動,③食事の場面で,食べ物の入った自分のお皿をひっくり返してしまう行動,④ヒーターの電源を頻繁に切る行動,⑤ペットボトルのお茶やジュース(冷蔵庫に入っている物も含む)を流しに捨ててしまう行動の5つであった。担任の教師は,これらの困った行動の低減を目的として,事前の環境調整を行う(先行刺激の操作),困った行動と同等な機能の適切なコミュニケーション行動を教える,困った行動の後に強化となる出来事を随伴させない(消去)ための支援を具体的に連絡帳に記入した。保護者は担任の教師が記入した\ことを基に家庭で子供に支援を実施した結果,すべての困った行動が低減した。併せて,事後アンケートでは,今回の連絡帳を通した保護者支援に対して肯定的な回答を得た。また,保護者が子供の困った行動に対して,応用行動分析学の視点を活用することが可能になってきたことを示唆する記述がみられた。以上より,特別支援学校における保護者支援の一つとして,子供の家庭での困った行動の低減に連絡帳を通した応用行動分析学に基づく支援の効果が示された。
Original languageJapanese
Pages (from-to)41-49
Number of pages9
Journal教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要
Volume18
StatePublished - 2024/01/22

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