Abstract
国語の読み書きは多くの学習の基盤となるスキルであり,そのスキルの習得と関連しているのがワーキングメモリである。研究1では,低学年の児童に対して集団でかつ短時間に実施できるワーキングメモリアセスメントテストを作成し,その妥当性を検討した。テストは非単語比較課題と図形配列比較課題から構成され,それぞれが言語性ワーキングメモリと視空間性ワーキングメモリを測定していると仮定された。テストを小学校入学直後の1年生に実施した結果,テストの合計点が10%以下の児童は,それ以外の児童に比べて,ワーキングメモリ行動評定尺度(「課題を途中で投げ出す」など)の教師評定値が有意に高く,音韻認識課題の一部の成績が有意に低かった。よって,研究1で作成したアセスメントテストはワーキングメモリの個人差を反映していると考えられた。研究2では,研究1で作成したアセスメントテストを小学校入学直後の1年生に実施し,それらの得点が1年後,または2年後の平仮名の読み書きや漢字の読み書きの成績を予測するかを検討した。その結果,ワーキングメモリアセスメントテストの得点が1年後,2年後の特殊音を含む仮名文字の読み書きや漢字の読み書きの流暢性やスキルを予想することが示された。今後は本研究で作成したワーキングメモリアセスメントテストを小学校入学前後の幼児児童に実施することで,読み書きの遅れが生じやすい者を早期に見いだし,介入支援を行うことが期待される。
Translated title of the contribution | Predicting Elementary School Children's Difficulty to Read and Write Using Working Memory |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 278-287 |
Number of pages | 10 |
Journal | 発達心理学研究 |
Volume | 30 |
Issue number | 4 |
DOIs | |
State | Published - 2019 |
Externally published | Yes |