国内外来種ニホンテンに脅かされる北海道クロテンの生息現状把握と遺伝解析手法の確立 -北海道クロテン保全手法検討チーム-

木下 豪太*, 平川 浩文, 佐藤 拓真, 村上 翔大, 成瀬 未帆, 米澤 悟

*Corresponding author for this work

Research output: Working paper

Abstract

北海道では国内外来種であるニホンテン(Martes melampus)が分布を拡大しており,在来種クロテン(M. zibellina)の生息域を狭めている.本研究では,現在両種の分布境界となっている石狩低地帯を中心に両種の生息調査を行うとともに,新たなDNAマーカーによる集団構造解析を行った.その結果,石狩低地帯に位置する2 つの丘陵(野幌と馬追)でクロテンの生息を確認し,野幌では両種が2km以内で確認され,境界がほぼ確定できた.本研究で作成したマイクロサテライトを用いて馬追と野幌で収集した糞サンプルのDNA解析に成功した.マイクロサテライトマーカーとMIG-seqにより得られたSNPを用いた解析では,クロテンとニホンテンは遺伝的に明瞭に分けられること,北海道のクロテンは分布の東西で遺伝的な偏りがあることが示された.今後は両種の分布隣接地での生態調査を行うとともに,遺伝的集団構造を踏まえた長期的な分布変化のモニタリングが必要である.
Original languageJapanese
Pages11-23
Volume28
DOIs
StatePublished - 2020

Publication series

Name自然保護助成基金助成成果報告書
Publisher公益財団法人 自然保護助成基金
ISSN (Print)2432-0943
ISSN (Electronic)2189-7727

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