Project Details
Description
光同調を担う網膜神経節細胞ipRGCにおいて新たな光シグナル経路の役割を生体内で調べるため、この経路を人為的に駆動する人工リガンド受容体DREADDがipRGC特異的に発現するマウスを作製した。DREADDリガンド投与によりipRGCでcfos発現誘導が検出され、ipRGCの選択的活性化に成功した。一方、行動リズムの光制御を担う鍵分子の同定に向け、野生型カリフォルニアマウスP.californicusのゲノム解析を遂行し、既にゲノム解読された近縁種P.maniculatusの情報を基にP.californicusのゲノムアッセンブリを試みている。 時計振動体の解析としては、時計タンパク質にタグを導入した変異マウスから様々な時刻に単離した時計タンパク質複合体を質量分析に供し、時計タンパク質の相互作用や修飾状態の組合わせの時刻依存性、いわゆるクロノコードを含む翻訳後修飾の実態を明らかにした。また、細胞時計の温度補償性を指標にした薬理スクリーニングにより、Na/Ca交換輸送体NCXによる低温応答性のCa2+/CaMKIIの活性化が温度補償に必要であることを見出した。低温応答性のCa2+シグナルはショウジョウバエ、シロイヌナズナおよびシアノバクテリアの概日時計においても重要な役割を果たすことを示し、真核生物と原核生物で共通する初めての時計因子NCXに依存したCa2+シグナルの重要性を浮き彫りにした。 時計出力系の解析としては、既に取得した老齢マウスデータの解析から、加齢に伴う時計出力の異常の原因となり得る細胞内シグナルが浮かび上がった。また、ニューロステロイド7αOH-Pregと7αOH-DHEAの合成鍵酵素CYP7B1の欠損マウスにおいて観察される空間記憶の長期維持障害が老齢野生型マウスにおいても見出され、老化に伴う記憶障害にはCYP7B1の活性低下が寄与する可能性が示唆された。
Status | Finished |
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Effective start/end date | 2017/04/25 → 2022/03/31 |