Project Details
Description
1.研究目的 培養血管内皮細胞を用い、radioimmunoassayによりカテコラミンレセプターを定量し、更にその量的変動を明らかにすることは出血性ショックや敗血症性ショックの研究や治療の上に重要である。ところが近年分子生物学の進歩により、血管内皮細胞はそれ自身が種々の循環作動性物質を産生し、血管の緊張性を調節し、血液循環の動的平衡を支えていることが明らかになった。特に内皮由来血管収縮因子であるエンドセリン(ET-1)と内皮由来血管弛緩因子である一酸化窒素(NO)は局所の血流動態に重要な役割を演じていると考えられており、ショック発現にも関与している可能性がある。そこで、ショックの患者の麻酔導入によく使用される静脈麻酔薬であるケタミンがこれらの因子の産生にどのような影響を与えているのかまず検討した。2.研究方法 国立衛生試験所細胞バンクより供給を受けたウシ肺動脈血管内皮の細胞株を、12穴のマルチプルシャーレ(直径2.4cm)4枚に均等に継代し、20%ウシ胎児血清加イ-グルMEM培地で培養(5%CO2.95%air.37℃)した。コンフルエントに達した後、各種濃度(0.10^〜10^M)のケタミン含有無血清イ-グルMEM培地で新たに24時間培養し、その上清を検体として用いた。ET-1の測定は酵素免疫測定法を用い、各シャーレのET-1分泌量は生細胞数10,000あたりで補正した。3.研究成果 ケタミン24時間の負荷は、10^〜10^Mの各濃度群とも、ウシ肺動脈の培養血管内皮細胞からのET-1産生を有意に抑制することを明らかにした。(第41回日本麻酔学会にて発表予定)4.今後の展開 現在ウシ頚動脈培養血管内皮、ヒト大動脈培養血管内皮についても同様に検討中である。今後は更にNO産生に対する影響も調べ、ET-1産生との相互関係について明らかにしたい。
Status | Finished |
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Effective start/end date | 1993/04/01 → 1994/03/31 |